2016年ベルギーの旅④ おひとり様も、3日通えば常連に?

ヨーロッパで食い倒れ
Restaurant Vincent

だいぶ日を開けてしまいました。

実は引っ越したのですが、インターネットの開通に思ったよりも時間がかかり、ちょっとした難民になりかけていました。

昨今はどこと契約しようとも、開設作業には2週間〜1ヶ月ほど時間がかかるそうです。これから引っ越しをされる方はご注意を。

ともあれ、おそらく一番暑いさなかの引っ越しで体力を消耗したのもあり、ここ1週間くらいはとてものんびりしておりました。

今日から、またコンスタントに更新していければと思っています。

2018の日本は、7月中旬からの暑さがほとんど異常でした。台風前までは夜も気温が下がりませんでしたね。

2016年、私が訪れた頃のベルギーは、8月の中頃で、まさに夏真っ盛りでした。

けれど、朝晩はひんやりしていて、半袖では肌寒いくらい。昼間歩いていても、汗をだらだらかくということはなかったように思います。

よく晴れていて、まさに観光するのにぴったりな気候だったのですが、流石に1日歩くと、夕方頃にはクタクタに。

夕食を考える段階では、日差しの強さも相まって、なんとなく、いつもの食欲がわきませんでした。

と言いつつ、昼間いたるところで間食していたのも、間違いなく原因の一つだっったというのはお約束。

ちなみに、私は、旅行に行った初めての土地では、安全面を考えても、混雑を避けるためにも、早め早めに夕食を確保します。ホテル泊で、食事をレストランで取るという時には、ほぼディナーが始まると同時にお店に入るようなことが多いです。

道や治安に明るくない街で、夜にあちこち歩くのは不安ですし、評判の良いお店ほど混むのはどこも同じ。お酒を楽しむのなら、なおさら、良い気分になっても確実に帰り着くような場所が望ましいですね。

そういった意味でも、宿の場所というのはやはり大切。

一人旅だと、どうしても宿泊費が割高で、節約したくもなるもの。しかし、逆に一人旅だからこそ、ある程度良い宿を取るというのも、また一つの手だと思います。

さぁ、ベルギーでのディナーはどこで食べましょう。

訪れたのは、グラン・プラスからすぐ、イロ・サクレ地区のアーケードの端にある『Restaurant Vincent』。

ベルギーの伝統料理が食べられるということで、やってきました。

入り口はなんとなく、「ここ入っても良いのかな?」というような、よく言えばさりげない感じ。

そそっと入店すると、給仕のおじさんが「なんだ?」という目で見てきたので、

「ひとりで」

と申告。

おじさん、にこりともしないどころか、非常に怪訝な顔で

「ひとり…?」

「ひとりです」

「…どうぞ。好きなところへ」

だいたいこんな感じのやりとりがあった、と信じたい、くらいの無愛想さ。

欧州というと先進国のイメージがあるけれど、女性の「おひとり様」に対しては結構シビアです。特にアジア人の女性に対して、風当たりの強さを感じるのは、残念ながら気のせいではないでしょう。異様なものを見るような目を向けられることも、しばしば。

ちょうどこの時のように。

でもまぁ、私も大抵図太く生きていくことにしているので、さっさと席について、メニューを開きます。

記憶が定かでないのですが、この店には、英語のメニューがなかったのかも?

というのも、このニコリともしないおじさんウェイターと、何故かいろいろと会話した結果、料理を頼んだ記憶があるのです。

そして出てきたのが、こちら。

ベルギー伝統料理、小エビのクリームコロッケ

ベルギー料理の一つ、小エビのクリームコロッケ。

手前のこんもりしているのは、パセリのフライです。

「パセリ揚げるの?!フライにフライって…」

と思うでしょうが、ベルギーではポピュラーな付け合わせ。

私も初めはどうかなと思ったのですが、意外にいけなくはないです。そもそも、生じゃこんなにパセリばかり、食べられませんしね。

肝心のクリームコロッケの味も、美味しい。一つは熱々をそのまま、一つにはたっぷりレモンを絞っていただきました。

味が確かなうえ、普段、家で作らないようなものを外で食べると、なんだかそれだけで満足感が増します。

スパークリングワインの心地よい刺激とともに海老の香りを楽しめば、1日暑さにさらされた疲れも、癒されていくようです。

本来なら、このメニューは前菜のような位置付けなのでしょうが、パンもついていましたし、それほど食欲がない時には一皿で十分。

日本人のなかには、海外のレストランに入ると、前菜からメイン、時にはデザートまで、コース通りに注文しようとする人がいます。もちろん、自分の好みのものを注文し、最後まで美味しく食べられるのなら、全く問題ありません。ただ、海外の料理は大抵量が多いもの。

アラカルトで頼むのなら、固定概念にとらわれず、是非、自分の好きなものを好きな量だけ、頼んでみてください。前菜だけ頼んでも良いし、パスタが好きならパスタだけ何皿か注文しても良いのです。あとは好きな飲み物を合わせるだけ。

料理のサイズや、合う飲み物がわからなければ、給仕の人に気軽に相談してみましょう。

ついつい食べ過ぎてしまいがちな旅行中の食事量をコントロールできると、フットワークも俄然軽くなるはず。ひとり旅ならなおさら、シェアできない分、少なめを意識すると良いかもしれません。

私なども、旅行中に何度、

「胃袋が複数あればなぁ」

と思ったことか。

とまれ、こうして一品をゆっくり楽しみ、明日への期待を残して1日めの夕食が終了。

全て壮年の男性で占められたウェイター達の、その愛想のなさにも関わらず、私は何故かこのレストランが気に入りました。

彼らは愛想はないのですが、いやらしさもなく、給仕は過不足なくやってくれましたし、聞かれたことには淡々と、的確に答えてもくれました。それに、早い時間帯だったせいか、まるで船の中にいるかのような店内の雰囲気に浸り、のんびりと食事をとることができました。

Restaurant Vincent

そして結局、ベルギーでの3回のディナーは、全てこの店でいただくことになったのです。

実を言うと、本当はこの店のすぐ近くにある、また違う店に行こうと思っていたのですが、滞在している間はずっと夏季休業中。残念ながら、こちらは次回以降へ持ち越しとなりました。

ベルギーには本当に多くの飲食店があり、その割に、正直に言うと観光客向けの外れも多そうだと思いました。そこへ、1日目にして立地的にもちょうど良く、お気に入りの店を見つけられたので、短い期間でも通ってみることに。

2日目。

何故か持っていたジャケットなど着て、「ビジネスです」的な雰囲気を醸し出しながら入店。

昨日も合ったおじさんウェイターは、

「おや?」

と言う様子。我が物顔で同じ席へつきます。

ベルギー伝統料理、カルボナード・フラマンド

今日はおじさんのオススメ、カルボナード・フラマンド。

牛肉を野菜やマッシュルームとともにダークビールで煮込んだ、ビーフシチューのようなもの。これをベルギービールと一緒に。

しっかり濃厚な味がして、かすかに苦味も感じられ、ビールともぴったりの組み合わせでした。

3日目。

ちょっと綺麗めのワンピースで、ビジネスの成功感を演出しつつ、入店。

おじさんはすぐに気が付いて、

「また来たのか」

と行った様子。心なしか口角が持ち上がっていたような、いなかったような。

「どうも〜」

とこちらもまた来たよアピール。

すると、すっといつもの席へ案内してくれるおじさん。

そのままメニューを見ながらおじさんと相談し、選んだのがこちら。

ベルギー伝統料理、ワーテルゾーイ

ベルギーの郷土料理、ワーテルゾーイ。さらりとしたクリームシチューで、具材はごった煮のように何でも入れて良いそうですが、この時は魚とネギにポテトでした。

前日とは種類の違うベルギービールと。

あまりしつこくなく、滋味深い味わいでした。

結果として、たとえおひとり様で、アジア人で、女性だったとしても、そして給仕が究極的に愛想がなくても、3日も通えば、何となく常連のような気安さを感じられるようになる、というのがわかりました。

ひとり旅で何日か同じところに滞在する機会があれば、同じ店に何度か通ってみると、異国で自然と馴染みの顔ができて、楽しくなります。

もちろん、店のチョイスは大事ですから、フィーリングの合う店を探して見てください。

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