だいぶ日を開けてしまいました。
実は引っ越したのですが、インターネットの開通に思ったよりも時間がかかり、ちょっとした難民になりかけていました。
昨今はどこと契約しようとも、開設作業には2週間〜1ヶ月ほど時間がかかるそうです。これから引っ越しをされる方はご注意を。
ともあれ、おそらく一番暑いさなかの引っ越しで体力を消耗したのもあり、ここ1週間くらいはとてものんびりしておりました。
今日から、またコンスタントに更新していければと思っています。
2018の日本は、7月中旬からの暑さがほとんど異常でした。台風前までは夜も気温が下がりませんでしたね。
2016年、私が訪れた頃のベルギーは、8月の中頃で、まさに夏真っ盛りでした。
けれど、朝晩はひんやりしていて、半袖では肌寒いくらい。昼間歩いていても、汗をだらだらかくということはなかったように思います。
よく晴れていて、まさに観光するのにぴったりな気候だったのですが、流石に1日歩くと、夕方頃にはクタクタに。
夕食を考える段階では、日差しの強さも相まって、なんとなく、いつもの食欲がわきませんでした。
と言いつつ、昼間いたるところで間食していたのも、間違いなく原因の一つだっったというのはお約束。
ちなみに、私は、旅行に行った初めての土地では、安全面を考えても、混雑を避けるためにも、早め早めに夕食を確保します。ホテル泊で、食事をレストランで取るという時には、ほぼディナーが始まると同時にお店に入るようなことが多いです。
道や治安に明るくない街で、夜にあちこち歩くのは不安ですし、評判の良いお店ほど混むのはどこも同じ。お酒を楽しむのなら、なおさら、良い気分になっても確実に帰り着くような場所が望ましいですね。
そういった意味でも、宿の場所というのはやはり大切。
一人旅だと、どうしても宿泊費が割高で、節約したくもなるもの。しかし、逆に一人旅だからこそ、ある程度良い宿を取るというのも、また一つの手だと思います。
さぁ、ベルギーでのディナーはどこで食べましょう。
訪れたのは、グラン・プラスからすぐ、イロ・サクレ地区のアーケードの端にある『Restaurant Vincent』。
ベルギーの伝統料理が食べられるということで、やってきました。
入り口はなんとなく、「ここ入っても良いのかな?」というような、よく言えばさりげない感じ。
そそっと入店すると、給仕のおじさんが「なんだ?」という目で見てきたので、
「ひとりで」
と申告。
おじさん、にこりともしないどころか、非常に怪訝な顔で
「ひとり…?」
「ひとりです」
「…どうぞ。好きなところへ」
だいたいこんな感じのやりとりがあった、と信じたい、くらいの無愛想さ。
欧州というと先進国のイメージがあるけれど、女性の「おひとり様」に対しては結構シビアです。特にアジア人の女性に対して、風当たりの強さを感じるのは、残念ながら気のせいではないでしょう。異様なものを見るような目を向けられることも、しばしば。
ちょうどこの時のように。
でもまぁ、私も大抵図太く生きていくことにしているので、さっさと席について、メニューを開きます。
記憶が定かでないのですが、この店には、英語のメニューがなかったのかも?
というのも、このニコリともしないおじさんウェイターと、何故かいろいろと会話した結果、料理を頼んだ記憶があるのです。
そして出てきたのが、こちら。
ベルギー料理の一つ、小エビのクリームコロッケ。
手前のこんもりしているのは、パセリのフライです。
「パセリ揚げるの?!フライにフライって…」
と思うでしょうが、ベルギーではポピュラーな付け合わせ。
私も初めはどうかなと思ったのですが、意外にいけなくはないです。そもそも、生じゃこんなにパセリばかり、食べられませんしね。
肝心のクリームコロッケの味も、美味しい。一つは熱々をそのまま、一つにはたっぷりレモンを絞っていただきました。
味が確かなうえ、普段、家で作らないようなものを外で食べると、なんだかそれだけで満足感が増します。
スパークリングワインの心地よい刺激とともに海老の香りを楽しめば、1日暑さにさらされた疲れも、癒されていくようです。
本来なら、このメニューは前菜のような位置付けなのでしょうが、パンもついていましたし、それほど食欲がない時には一皿で十分。
日本人のなかには、海外のレストランに入ると、前菜からメイン、時にはデザートまで、コース通りに注文しようとする人がいます。もちろん、自分の好みのものを注文し、最後まで美味しく食べられるのなら、全く問題ありません。ただ、海外の料理は大抵量が多いもの。
アラカルトで頼むのなら、固定概念にとらわれず、是非、自分の好きなものを好きな量だけ、頼んでみてください。前菜だけ頼んでも良いし、パスタが好きならパスタだけ何皿か注文しても良いのです。あとは好きな飲み物を合わせるだけ。
料理のサイズや、合う飲み物がわからなければ、給仕の人に気軽に相談してみましょう。
ついつい食べ過ぎてしまいがちな旅行中の食事量をコントロールできると、フットワークも俄然軽くなるはず。ひとり旅ならなおさら、シェアできない分、少なめを意識すると良いかもしれません。
私なども、旅行中に何度、
「胃袋が複数あればなぁ」
と思ったことか。
とまれ、こうして一品をゆっくり楽しみ、明日への期待を残して1日めの夕食が終了。
全て壮年の男性で占められたウェイター達の、その愛想のなさにも関わらず、私は何故かこのレストランが気に入りました。
彼らは愛想はないのですが、いやらしさもなく、給仕は過不足なくやってくれましたし、聞かれたことには淡々と、的確に答えてもくれました。それに、早い時間帯だったせいか、まるで船の中にいるかのような店内の雰囲気に浸り、のんびりと食事をとることができました。
そして結局、ベルギーでの3回のディナーは、全てこの店でいただくことになったのです。
実を言うと、本当はこの店のすぐ近くにある、また違う店に行こうと思っていたのですが、滞在している間はずっと夏季休業中。残念ながら、こちらは次回以降へ持ち越しとなりました。
ベルギーには本当に多くの飲食店があり、その割に、正直に言うと観光客向けの外れも多そうだと思いました。そこへ、1日目にして立地的にもちょうど良く、お気に入りの店を見つけられたので、短い期間でも通ってみることに。
2日目。
何故か持っていたジャケットなど着て、「ビジネスです」的な雰囲気を醸し出しながら入店。
昨日も合ったおじさんウェイターは、
「おや?」
と言う様子。我が物顔で同じ席へつきます。
今日はおじさんのオススメ、カルボナード・フラマンド。
牛肉を野菜やマッシュルームとともにダークビールで煮込んだ、ビーフシチューのようなもの。これをベルギービールと一緒に。
しっかり濃厚な味がして、かすかに苦味も感じられ、ビールともぴったりの組み合わせでした。
3日目。
ちょっと綺麗めのワンピースで、ビジネスの成功感を演出しつつ、入店。
おじさんはすぐに気が付いて、
「また来たのか」
と行った様子。心なしか口角が持ち上がっていたような、いなかったような。
「どうも〜」
とこちらもまた来たよアピール。
すると、すっといつもの席へ案内してくれるおじさん。
そのままメニューを見ながらおじさんと相談し、選んだのがこちら。
ベルギーの郷土料理、ワーテルゾーイ。さらりとしたクリームシチューで、具材はごった煮のように何でも入れて良いそうですが、この時は魚とネギにポテトでした。
前日とは種類の違うベルギービールと。
あまりしつこくなく、滋味深い味わいでした。
結果として、たとえおひとり様で、アジア人で、女性だったとしても、そして給仕が究極的に愛想がなくても、3日も通えば、何となく常連のような気安さを感じられるようになる、というのがわかりました。
ひとり旅で何日か同じところに滞在する機会があれば、同じ店に何度か通ってみると、異国で自然と馴染みの顔ができて、楽しくなります。
もちろん、店のチョイスは大事ですから、フィーリングの合う店を探して見てください。
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