2016年ベルギーの旅① 日本風フラワーカーペットと二つのワッフル

ヨーロッパで食い倒れ
ベルギー、ブリュッセルのグランプラスで2年に1度みられる、フラワーカーペット。 2016年のテーマは『日本』だった。

欧州で花のカーペットというと、実は夏になるといたるところでみられる風物詩です。

しかし、ベルギーのフラワーカーペットほど有名なものはないかもしれません。2年に一度、首都ブリュッセルの中心地、グランプラスの広場一面に、花のアートが描きだされ、サマーホリデーど真ん中の8月中旬開催なこともあり、世界中から観光客が集まります。

一昨年、2016年は第20回、日本との外交150周年ということで、カーペットのテーマは『日本』でした。

これは行かねば!

と、最初から思っていたわけではなく。

この頃の欧州情勢を思い出すと、前年2015年はまさにテロイヤー。フランスやデンマークを含め、世界各国、いたるところで次から次へと大規模なテロによる犠牲者がでていた時です。

私も、2016年のニューイヤーを過ごすためにフランス行きを計画していたのですが、あまりに状況が悪化していたため、日本にいる家族からキャンセルするよう懇願されました。

その時は、英国スコットランドにいる自分と、日本にいる家族との意識の差があまりに激しいことに戸惑い、割と真剣に悩んだりもしました。

「何かあったら、個人だけの問題じゃすまないから」

母から言われたその言葉が、まさに日本人である自分の、日本人的なアイデンティティを支えるための心の枷のように感じました。

周囲の欧州の友人に意見を求めたり、一方で日本にいる知人に世論を尋ねたりした結果、結局は「どこにいっても危険は同じ」という結論に落ち着きました。

けれど、家族にはフランス行きについては、日本に帰国するまで言いませんでした。何があったとしても、心配させることで状況が変わるわけではありませんから。

年が明け、2016年になっても、状況は良くなりませんでした。被害は拡大し続け、フランスでもトルコでも、そしてベルギーでも、テロは発生していました。ただ、人々が少し、この異常事態に慣れ始めていた時期ではありました。

そんな中で、たまたま知り合ったベルギー出身の人に、こう言われたのです。

「今年はグランプラスが日本模様になるね。でも日本人観光客は少ないらしいよ。君も行かないんだろうね、こんなに近くにいるのにさ」

私は最初、なんとなくバカにしたような言い方に、少しばかりカチンときました。彼と話したのは後にも先にもこの時だけでしたが、マルチリンガル(多言語話者)なのを鼻にかけ、ペラペラ話せないアジア人を下に見ているようなところのある人でした。

そして、

「行ってやろう」

と思ったのです。

日本と欧州との距離を考えれば、危うきは避けようという人間心理は自然でしょうし、共同体に迷惑をかけたくないという日本人的な自粛傾向は、単純に悪いと決めつけるようなものではありません。

ただ、少なくともこの時の私には物理的な距離感はなく、「欧州のコミュニティに暮らす日本人」として、日本で行くのを断念された方の代わりにも行こうじゃないか、と思ったのです。

もちろん、前々からベルギーを「美食の国」と聞いていたから、という理由も、大いにありましたけれど。

そんなこんなで、やってきたベルギー。

まずは最中央部のグランプラスで、フラワーカーペットを拝見。

ベルギー、ブリュッセルのグランプラスで2年に1度みられる、フラワーカーペット。
2016年のテーマは『日本』だった。

ゴシック調の建物に囲まれて、和風のイメージが浮かびます。

地上からでは全体像が見えませんので、市庁舎の向かいにある市立博物館へ入り、階上のテラスに上がって眺めました。それでも、端から端までうまく写真に収められないほどの大きさでした。

ちなみにこの博物館には、あの小便小僧の衣装が保管されています。彼は今や、世界一の衣装持ちで、気まぐれに着る服を変えたり、裸(初心)にかえったりするらしいです。

日本から送られた衣装がこちら。

日本から送られた小便小僧の衣装

ひとし君スタイルまで完備しているという不思議。送れば割と何でも着てくれるのでしょうか。

比較的人が少ないという午前中の早い時間だったのですが、グランプラスはすでに結構な混み具合でした。

夜のライトアップされた様子も美しいということですが、人混み嫌悪症の毛のある私は、昼のこの時間で十分に満足し、早々に引き上げました。

その後立ち寄ったカフェで頼んだのが、

リエージュ・ワッフル

ワッフルです。

まずはこれを食べないことには、ベルギー食い倒れは始まりません。

言わずと知れたベルギーワッフルですが、実は2つの種類があります。ふわふわと軽いブリュッセル・ワッフルと、どっしりと甘い生地のリエージュ・ワッフルです。

上の写真に写っているのは、日本でも良く知られているリエージュ・ワッフルの方です。普通、これだけで食べ歩き用に売られたりしていますが、このカフェではイチゴを乗せて、さらにメープルシロップを添えていました。素の生地に味があるので全部かけると甘すぎるくらいですが、イチゴの酸味と蜜の濃厚さが良く合ってどっしりしたワッフルを引き立て、美味しかったです。

リエージュワッフルは基本的にどこで食べても外しませんが、サクッとしっとりした作りたてはやはり格別。

一方、後日、アントワープの有名店で食べたブリュッセル・ワッフルがこちら。

ブリュッセル・ワッフル

初めて食べたのですが、これがまた美味しい!

サクッとした食感が、しっかりミルクの香りのするクリームと一緒にふわりと口の中に広がり、すぐに溶けるように無くなってしまいます。

生地に味が付いていない分、上にクリームやフルーツ、ソースなどをたくさん乗せて食べるのが一般的とのことですが、こうしてシンプルに生クリームだけの方が、味も食感も引き立つように思います。

見た目は大きくても、実際とても軽いので、一気に食べきってしまいました。時間が押していなければもう一皿頼みたかったほど。

もともと食べでのあるブリュッセル・ワッフルが好きだったので、正直それほど期待していなかったのですが、これは嬉しい驚きでした。

またベルギーに行った際には、2種類それぞれに、もっと色々な店のワッフルを食べ比べてみたいと思っています。

人間は、美味しいものを食べている時だけは、問題が山積しているのも忘れていられる、そんな気がしました。

さて、今年はまたベルギーにフラワーカーペットが出現します。

2018年は、8月16日〜19日の4日間。ひと月後です。

まだ予定のない方は、フラっと訪れてみてはいかがでしょう。

関連してというわけではありませんが、ちょうど夏の旅でしたので、これから数日は2016年のベルギー旅行について振り返ってみようと思います。

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