スペインでおひとり様、茄子のアサディジョ漬けを食す

スペインで食い倒れ
マラガで見つけた「茄子のアサディジョ漬け」っぽいもの

茄子好きとして、夏になるたびに思い出す映画があります。

『茄子 アンダルシアの夏』です。

茄子 アンダルシアの夏
主人公ぺぺはひたすら走っていた。照りつける熱い陽射しの中を、南スペインの乾いた道を。 “ブエルタ・ア・エスパーニャ”。“ツール・ド・フランス”と並ぶ「世界三大自転車レース」の一つ。勝利に恵まれず、レースの真っ只中、解雇を言い渡される。やがて生まれ育ったアンダルシアの村にさしかかる。そこでは、兄アンヘルと、かつての恋人カ...

ジブリでも活躍された高坂希太郎監督の作品で、私も当時はジブリだと思っていたのですが、作ったのは別の会社のようですね。

世界三大自転車レース、“ブエルタ•エ•エスパーニャ”に参加する主人公が、色々な葛藤を抱えながら故郷の町を通ってゴールを目指す、というのが大筋。見たのが子供の頃だったせいか、とにかくだだっ広くて開放的なアンダルシアの風景と、ひたすら美味しそうに「茄子のアサディジョ漬け」を食べる姿が印象に残っています。

いつか行ってみたい、食べてみたい、という思いがずっとあり、大人になってついにアンダルシアを訪れようと決めた時には、小躍りしたくなりました。

アンダルシアの都市をバスで回ったので、途中であの映画のままに広大な景色を堪能することはできました。しかし、どうもアサディジョ漬けが見当たりません。映画ではアンダルシア名物とのことだったので、行けばどこにでもあるだろうと思っていたのです。

夜に宿で調べてみると、どうやら「茄子のアサディジョ漬け」なる料理は実在しない?!とあるではないですか。ガーンという効果音がこれほどしっくりくるシチュエーションも珍しい。

似たようなものが、ドンキホーテの活躍するラマンチャにはあるらしいのですが、流石にそこまでは行けません。それに、あの茄子をこのアンダルシアで食べる、ということに意味があるような気がしていました。

がっかりして、トボトボとアンダルシアの港街、マラガの市場を歩いていると、

むむっ!?

似たやつがあるじゃありませんか!

それがこちら

マラガで見つけた「茄子のアサディジョ漬け」っぽいもの

そっくりです。これがラマンチャの料理なのでしょうか。

早速食べてみると、確かに色々なスパイスの味がします。想像していたよりもまろやかで、もう少しニンニクと唐辛子が効いていたほうがパンチが効いて、夏には美味しいかも?しかし、いくつかの店が数種類の似たような茄子漬けを売っていたので、食べ比べてみたらとびきり美味しいやつが見つかるかもしれません。

この時はお昼を食べたばかりで、いくつも食べ比べというわけには行きませんでしたが、とにかく食べられたというだけで満足でした。

ちなみにランチはこちら。

市場でお昼ご飯。寿司屋のようなカウンターで、魚介のグリルやフライなど、指差すと調理して出してくれる

行ったのは、アタラサナス•マーケットAtarazanas Marketという、マラガの中央市場です。さすが港街のマーケットだけあって、新鮮な魚介類が豊富。立ち飲みですが、その場で食べられるところも色々ありました。

マーケット自体も大きくて、ステンドグラスの綺麗な建物ですが、周辺には美味しいパン屋さんなどもあって、この周辺に宿をとると食べ物には困りません。

スペイン、マラガの中央市場、アタラサナス•マーケット

マラガは南スペインのリゾート地的な位置付けらしいのですが、物価も割と安かったような気がします。私はここで、スペインの梅干し、小粒オリーブと、ドライフルーツにナッツを大量に買いました。ついでに名物だというチーズもひとつ。

そしてさらに、肉屋で通訳してくれたお兄さんに

「ここのハモン•イベリコ•ベジョータは最高だ」

と言われ、サラミとともについつい購入。

結果、最高でした。

マラガ中央市場で買ったもの。これからセビリアを経由してポルトガルへ行く予定。

旅先で財布の紐が緩むというのは、こういうことですね。

大満足のアタラサナス中央市場を後にして、荷物を宿に置き、ビーチをのんびり散歩。私は海に入るのはあまり好きではないのですが、波の音を聞いたり、遠目に見るぶんには、本当に綺麗で穏やかなものだなと思います。

スペイン、マラガのビーチ

日本でもたまに、1人でぼんやりと海を見ます。時々、ちょっと不安そうな目で見られますが、気にしません。大丈夫そうだとみると、だいたい日本人はそっとしておいてくれます。

しかし、そうは行かないのが、ここスペイン。

自慢じゃないけれど、日本でも海外でも、ナンパされることはほとんどない私。が、スペインというのはどうも「1人」を放っておいてくれない国柄らしく、数少ないチャレンジャーは、実際半分近くスペイン人です。

この時も、

「どうしたの、1人?」

から始まり、どこから来たのから、日本の話、そして

「マラガに1人で来るなんて正気じゃないよ!みんなで飲むんだ、一緒に行こう!」

とグイグイ。

結局、頑固なお断りに肩をすくめて帰って行った彼。「1人でマラガに来たクレイジーな日本人」として、せいぜいバルで酒の肴にでもしておくれ、と思いながら再び海辺に寝転んだのでした。

きっぱり断ればなんてことないのですが、やはりちょっとウザいのは事実。

いつも思うのですが、日本でのおひとり様文化は、欧州ではまだまだ浸透の余地ありです。

ともあれ、マラガは、特に何か見るものがあるというわけではないものの、美味しくて気軽に入れるバルも多く、南スペインの海と日差しと食べ物を楽しむには、もってこいの街でした。

マラガの宿の共用テラス

ただし、1月の時点ですでにかなり暖かかった(というか蒸し暑かった)ので、夏場に行くと大変かもしれません。

そして、もし一人旅でも、心を強く持って楽しみましょう。

もちろん、現地の人との交流も楽しいですし、友達との旅行も良い。

でも、何かを自分のペースで、じっくり1人で楽しむというのは、とても贅沢なことだと思います。

なんだかまた茄子の映画を見たくなってきました。劇場で見たので、10年以上前の記憶です。

短い映画ですが、続編もあるようなので、この夏は茄子づくしのつまみをお供に、カバでも飲みながら見てみようかな。もちろん、一人で。

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