セビリア美術館とチュロス•コン•チョコラータ

スペインで食い倒れ
(無理やり)チュロス•コン•チョコラータ

セビリアのおすすめの場所といえば、セビリア美術館。

大聖堂も圧巻ですし、どこか一つだけというのなら悩むところ。欧州には日本人の感覚ではあり得ないほど贅を凝らした宗教施設がたくさんありますが、なかでも1、2を争う豪華さです。黄金時代のスペインの豊かさや勢いをこれでもかと感じられます。

でも、もしもう少し時間があるのなら、ぜひ足を運んで欲しいのが、セビリア美術館です。

ここは何故か、観光的にはあんまり推されていないような、皆知ってはいるけれど、まぁ、あえて行かなくてもいいかな?という扱いのミュージアム(個人的感想です)。

派手さが足りないのか…? 他にみる場所が沢山あるというのが大きいのでしょうが。

旧市街の少し外れ、大聖堂のあたりからは15分くらい歩きます。私と同じく方向音痴のご自覚があれば、余裕をもって20〜30分は見ておきましょう。道順はそれほど難しくありません。

それに、街並みの美しさを眺めながらですから、丁度良い散歩コースです。

雨上がりのセビリア市街

セビリア美術館の入り口は、ちょっとした広場に面した場所にあり、決して大きくはありません。

プラド美術館に次ぐ所蔵数という話を小耳に挟みましたが、とてもそうは見えません。入場料も大変安かった記憶があります。2ユーロくらいだったかな?素晴らしい。

内部もとても素敵なのですが、規模としてはそれほど大きくなく、またゆったりとしていて、楽に回れる作りでした。

この美術館には、ムリーリョをはじめとして、地元出身の画家の絵が数多く展示されているとか。美術にはあまり詳しくないのですが、聖母被昇天などは、やはり息を飲む素晴らしさでした。

2018年、ムリーリョはちょうど、生誕400周年です。今年から来年にかけて、色々とイベントが催されるようですね。これから行かれる方は、何か特別な体験ができるかもしれません。

美術館の建物はもともと修道院だったもので、緑あふれる中庭や、回廊などの建造物も趣があります。

そして何より、メイン展示室の天井の高さが開放的で、装飾も美しい。教会や礼拝堂によくある、十字のような構造が特徴的です。

重厚でありながら白を基調とした明るい空間で、人もあまりいなかったせいか、本当にのんびりと、雰囲気を楽しみながら美術鑑賞ができました。

修道院の建物を利用したセビリア美術館内部。

日本人は美術展が大好きですし、美術館や博物館は日本にも数多くありますが、こういう、美術館そのものも含めて歴史や芸術に浸れる場所というのは、それほど多くないように思います。東京にいると特に、土地は狭いし人が多いから、なんとなくゆっくりできないのかもしれません。人が多すぎて椅子もないようなところは、せっかく美しいものを見ても、終わると何か、疲れてしまっていたり。

対照的に、ここは修道院跡であったせいか、館内にとても静謐な空気が漂っていました。どちらかというと暗めのトーンの宗教画が多いにも関わらず、穏やかに、スッキリとした気持ちで見終えることができました。

美術館を出ると、広場のあちこちに、沢山の絵を立てかけた人々がいます。どうも、毎週日曜日は画家たちが作品を手に集まってくる様子。館内とはまた違った、セビリアの町並みの写真や現代美術をブラブラと眺めて楽しむこともできました。

セビリア観光の際はぜひ、足を運んでみてください。

さて、セビリア美術館の開館前に時間を潰すために入った店で頼んだのが、こちら、チュロス•コン•チョコラータ。

(無理やり)チュロス•コン•チョコラータ

言わずと知れたスペイン名物ですが、正直なところ、私はこれを美味と思ったことがありません。

チュロスを食べるなら、素直にお砂糖でもかかっていた方がよほど美味しい。チョコレートも、普通に固形のものをコーヒーか紅茶で楽しみたい。なんならスパークリングワインでも良い。

にも関わらず、スペインに行くと一度は、なんとなく頼んでしまう。不思議な組み合わせです。

何しろ、この時はわざわざ、「チュロス•コン•チョコラータはメニューにないけど…」という店主に、別々のものを頼んで一緒に出してもらったのです。

思うに、スペイン人だって、それほど日常的に食べるようなものじゃないのでしょう。

味だってやはり、そんなに美味しくはなかった。

では何故頼んでしまうのか。

思うに、これはもう、イケナイ組み合わせに対する一種の禁断症状のようなものなのではないかと。普段なら単体でも罪悪感を覚えるほどの食べ物をまさか一緒になんて…スペインでなら食べられる!

無意識のうちに、その強迫観念のような誘惑に負けてしまっているのかもしれません。

げに恐ろしい、チュロス•コン•チョコラータ。

でも、体に良いものじゃないとわかっていても食べてしまう「罪の味」って、案外存在しますよね。

願わくば、今度は実際の味も衝動に見合うくらい美味しい、チュロス•コン•チョコラータが食べてみたいものです。

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